ブライアン・ウィルソン&ヴァン・ダイク・パークス 『オレンジ・クレイト・アート』


ブライアン・ウィルソン&ヴァン・ダイク・パークス/オレンジ・クレイト・アート 【CD】

1995年10月24日発売。
ヴァン・ダイク・パークスはソロ・アルバムを制作する。
その過程でブライアン・ウィルソンを招き、
リードボーカルとコーラスに起用する。
サウンドはアコースティック主体の高級感あふれるゴージャスサウンドで
童謡的で偶然のなのか歌謡曲的なメロディーが多く、
黄昏を感じる哀愁の高い曲が並ぶアルバムとなっている。

これからブライアン・ウィルソンについて言及したいと思う。
ブライアン・ウィルソンは基本的にリードボーカルとコーラスに徹しているだけ、
自身のアピールポイントである作曲はこのアルバムでは一切行っていない。
ヴァン・ダイク・パークスの作曲にボーカリストして参加しただけだ。
それでもブライアン・ウィルソンの名前が最初に出るのは、
やはり彼のブランド力と知名度故だからなのだろう。

ブライアン・ウィルソンの声は80年代以降のしわがれた声だ。
ここまで、はっきりと彼の声を聴いたアルバムは意外と初めてなのではないだろうか。
もちろんこのアルバムが発売されるまで、
ソロアルバムは2枚
(『ブライアン・ウィルソン』(1988年)『駄目な僕-I Just Wasn’t Made For These Times』(1994年))
出ているし、
ビーチボーイズで80年代以降、彼がボーカルを取っている曲はある。
しかし『ブライアン・ウィルソン』はオケも含めてリバーブが強く、ボーカルの加工感がとても強いし、
『駄目な僕-I Just Wasn’t Made For These Times』はアルバム収録時間が29分と短いし、
ビーチボーイズやソロ・アルバムのセルフカヴァーというエクスキューズでリハビリしている感もあった。
そしてビーチボーイズのリードボーカルに関しては元々役割が限定的だ。
このアルバムは彼の声を何らかで隠れることなしに、正々堂々と勝負に出ている。

よくよく聴いているとこのしわがれた声、これはこれで味になり得るのではと
思った。
路線変更次第では十分に第一戦として活動できると思ったけれど、
この後、ブライアン・ウィルソンはペット・サウンズやスマイルといった
ビーチボーイズの過去の遺産を掘り下げるということで
活動と存在を維持するという行動をする。
多くのファンとしては、そちらの方が望ましいのだろうけれど、
僕は彼のこのしわがれた声をより活かす音楽を聴きたい。

作曲していないのにも関わらず
後に出るブライアン・ウィルソンの2ndアルバム『イマジネーション』(1998年6月16日)に
どこか通じているのは、
もともと何処か通じているところがあるからだろうか。
それともこのアルバムに参加したことで、
アルバム制作の方向をつかめたということなのか。

1.オレンジ・クレイト・アート – Orange Crate Art
2.セイル・アウェイ – Sail Away
3.マイー・ホーボー・ハート – My Hobo Heart
4.ウィングス・オブ・ア・ダヴ – Wings of a Dove
5.パーム・ツリー・アンド・ムーン – Palm Tree and Moon
6.サマー・イン・モントレー – Summer in Monterey
7.サン・フランシスコ – San Francisco
8.ホールド・バック・タイム – Hold Back Time
9.マイ・ジーニーン – My Jeanine
10.ムーヴィーズ・イズ・マジック – Movies is Magic
11.夕暮れの街 – This Town Goes Down at Sunset
12.ララバイ – Lullaby

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