1991年9月30日。
制作中は、バブルの崩壊が始まる直前。
日本の歴史上、
まさに欲望とそのことを満たしてくれる物理的な環境が頂点に達した時代。
そのことをユニコーンを感じていたのか、
アルバムの曲調全体、日本の暗部について、シニカルに唄い。
サウンド全体的に翳りを感じ、3枚目さの明るさがない。
前アルバムにあった『ケダモノの嵐』(1990年)にあった「ロック幸せ」ような
会社勤めのひたすら前向きさを出していた曲はなくなる。
1.ターボ意味無し
作詞・作曲:奥田民生
奥田民生のソロに近い曲調。
前作の『ハヴァナイスデー』(1990年12月1日)から出来始めている、
ソロのオルタナティブの曲調の気だるいスタイルが出ている。
後にソロになって『CAR SONGS OF THE YEARS』(2001年)で
セルフカバーしていることから、
ソロとして親和性が近いというところだろう。
2.黒い炎
作詞・作曲:堀内一史
ブラスのロック。
奥田民生がドラムを担当。
どうやらドラムの川西が怪我をしたらしい。
3.「ニッポンへ行くの巻」
作詞・作曲:奥田民生
歌詞はブロンドの髪の外国人に「ニッポン」について、
どういうところか皮肉を交えて素晴らしさを教えるといった内容。
サウンドも皮肉を分かりやすく伝えるため2枚目なアレンジ。
皮肉部分は確かに面白いと思う。
ただ歌詞カードの強調部分はあざとすぎるのではと思う。
4.開店休業
作詞・作曲:阿部義晴
無職の人(歌詞ではプー太郎と表現)が愛する人に捧げ、
自分が仕事をしていないこと弁明してる唄。
バブル期の忙しさについての抵抗を感じる。
5.幸福
作詞・作曲:手島いさむ
両親のDVを見たことから始まる夏の日。
そこからひと昔を感じさせる日本の夏が流れる。
思春期の苦悩と日常の暗部を巧みに書いている。
フォーク調の曲でインド風のサウンド。
『服部』に収録されている「デーゲーム」を思わせる。
その続編であり、陰の一面を見てしまったように見える。
6.看護婦ロック
作詞・作曲:阿部義晴
エルヴィス・プレスリーの「監獄ロック」のパロディー。
『ハヴァナイスデー』は主に奥田民生がボーカルを担当していた。
『ハヴァナイスデー』がフルアルバムだったら、
阿部義晴はこういう曲を歌っていたのではと思わせる。
7.立秋
作詞・作曲:阿部義晴
ジャズ色のある曲。
前半弾き語り主体から、
後半バンドに展開する。
8.ザ・マン・アイ・ラヴ
作詞・作曲:西川幸一
ハードロック、奥田民生のボーカル処理もそれに似あうようにしている。
個人的にはポールマッカートニー&ウイングス「ジェット」を感じた。
この曲を意識しているのだろうか。
9.フリージャズ
作詞・作曲:阿部義晴
10.風
作詞・作曲:奥田民生
38秒と短い唄。
寝る前、明日やる予定を述べて「風 II」に続く。
11.家
作詞・作曲:奥田民生
道路を作るために、自分たちの古い家が立ち退きられた唄。
唄の内容から
思い出の場所が奪われる寂しさ、権力者の都合による理不尽を
読もうとすれば、読めるが、
しかし奥田民生はできる限り、感情を抑えた歌唱と
乾いた歌詞の文体で聴く人の幅を広げている。
12.Oh,What a Beautiful Morning
作詞・作曲:西川幸一
病院にて自分の人生を振り返る老人が主人公の唄。
それを延々と穏やかな曲調で歌い上げる。
13.風 II
作詞・作曲:奥田民生
「風」の続きで、起きたら雨が降って。
予定をキャンセルして、また寝るという話。
14.車も電話もないけれど
作詞・作曲:奥田民生
「車も電話もない」文明開化の時の日本から
やってきた女性に語り掛けるラブソング。
15.ヒゲとボイン
作詞・作曲:奥田民生
会社勤めが主人公の歌。
跡取りの息子のヒガがトレードマークになっている社長と会社勤めの主人公、
そしてボイン(好きな女性社員)。
ずいぶんバブル景気で調子が良さそうな会社、
この後、この会社と主人公はどうなったのだろうか。
「働く男」と「大迷惑」を混ぜたような世界観。
シンセが全面に出ている。
1991年10月25日にシングルカットされる。
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