ブライアン・ウィルソン 『ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド 』


ブライアン・ウィルソン/ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド[CD]

2004年6月22日発売。
豪華なゲストありきのアルバム。
ジャケットのデザイナーとミュージシャン
に豪華ゲストを参加させている。

このアルバムのレコーディングに
エルトン・ジョン(1)、カール・ウィルソン(2)、エリック・クラプトン(5)、ポール・マッカートニー(7)
と豪華なスペシャルゲストが参加。
エルトン・ジョンのボーカルが若干80年代以降のカール・ウィルソンの声に似ていることが面白い。
1曲ならず、『オレンジ・クレート・アート』の逆のようなこと、
アルバムに出来る限り参加してもらえたら、アルバムの完成度が上がっていたと思う。
2.は楽曲としてじゃいいのだけれど、ビーチボーイズのバージョンの方が良く、
ビーチボーイズはブライアン・ウィルソン(とカールウィルソン)だけで
成立しているわけでないことを
証明させられる曲となってしまった。
5.はクラプトンのために無理に歪ませたギターを目立たせるアレンジにしていて、
7.は残念ながら出落ち感が否めない。

ジャケットも豪華ゲストになっていて、
デザイン担当は
ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
で有名なピーター・ブレイク。
ただそれはそれとして
僕はこのジャケット・デザイン、そういった事情がなくてもいいと思っている。

アルバムの収録曲は
ビーチボーイズとしてレコーディングしたもの(2)と
1991年に発売する2ndになる予定だったものの、
お蔵入りになった『スウィート・インサニティ』の5曲
(8、9、11、12、13.ただし11と13.は改作されている)と、
このアルバムのために書き下ろした7曲の計13曲をひとまとめにしている。

そういった経緯があってアルバム全体はバラけている。
というよりもどうせバラけるのなら、
バラけてやろうという開き直りありきで制作されたのではないだろうか。
ある意味で、始めから名盤や傑作といったアルバムを作ることを放棄、
そこから出来る限り、商業的に面白くなるように作ろうという意図が感じられる。

このアルバムを聴いて思うのは、
『イマジネーション』(1998年)のような
過去のビーチボーイズの栄光、天才の復活といった
エクスキューズなしのしっかりしたオリジナル・アルバムを発表した後でもなお
過去の、天才という栄光を使わざるをえない状況が
続いていることが物語っているということだ。

アルバムのジャケットのデザインと同じく、
コラージュ感が強くそれでいて陽気でポップ作風にしようと制作されたことは伝わる。
ただそのことがこのアルバムの計画どおり成功したかどうかは、僕は疑問に思っている。

1.ハウ・クッド・ウィ・スティル・ビー・ダンシン – “How Could We Still Be Dancin’?”
2.ソウル・サーチン – “Soul Searchin'” –
3.ユーヴ・タッチド・ミー – “You’ve Touched Me”
4.ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド – “Gettin’ in Over My Head” –
5.シティ・ブルース – “City Blues”
6.デザート・ドライヴ – “Desert Drive” –
7.フレンド・ライク・ユー – “A Friend Like You”
8.メイク・ア・ウィッシュ – “Make a Wish”
9.レインボウ・アイズ – “Rainbow Eyes”
10.サタデー・モーニング・イン・ザ・シティ – “Saturday Morning in the City” –
11.フェアリー・テール – “Fairy Tale”
12.ドント・レット・ハー・ノウ・シーズ・アン・エンジェル – “Don’t Let Her Know She’s an Angel”
13.ザ・ワルツ – “The Waltz”

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