ザ・ビーチボーイズ 『20/20』


20/20 +2

1969年2月3日発売。
アルバムに統一感がないこと、
ジャケット(とジャケット内の写真)とタイトルとビジュアル面がよくないこと、
次のアルバム『サンフラワー』(1970年)が今作と違い
アルバムの統一感があって、ビジュアル面が良くて世評が高いという
様々な理由で、
このアルバムはあまり評判よくないけれど、
アルバム収録曲で強力な曲の数の多さでは『サンフラワー』を凌駕していると僕は考えている。

その証拠というのもなんでいささか苦しいけれども、
例えばベストアルバム
『ビーチ・ボーイズ・グレイテスト・ヒッツ 2 (1966-1969)』(1999年)
というアルバムがある。
そのアルバムは28曲収録している内、
収録曲の数で『ペットサウンズ』の7曲に次ぐ、
6曲(このアルバムでいうと1、2、3、5、7、9)を収録している。
(『スマイリー・スマイル』は3曲、『ワイルド・ハニー』は4曲、
『フレンズ』は4曲、アルバム未収録4曲。
さらに参考に『サンフラワー』は次の時期のベストを収録した
『ビーチ・ボーイズ・グレイテスト・ヒッツ3(ベスト・オブ・ブラザー・イヤーズ)』で
22曲中3曲、収録されている)

またそのベストアルバムに入っていない
ブライアン・ウィルソン作詞・作曲、ボーカルの
8.も聴きどころで、
ジャケット内側の写真のブライアン・ウィルソンのイメージ通りの
刃のように狂気を全開に感じさせる曲である。

チャールズ・マンソンとかかわりのある、
しかし楽曲としてアルバム収録曲のなかで最も弱い
10.があるなど音楽以外の聴きどころもある。

そして何より1.である。
冒頭のスネアの音。
あきらかにシンセ・ドラムのような音がしており、
この音が1968年に
(この曲はアルバムに先駆けてシングルとして1968年7月に発売された)
存在していたことににわかに信じがたく、初めて聴いたときは衝撃だった。
もしかしたらエンジニアの貢献が大きかったのかもしれないが、
僕はこの曲を聴いてブライアン・ウィルソンの才能を感じざるを得ない。

さて、その聴きどころ満載の曲が収録している
アルバムの評価を著しく下げているタイトルとジャケットについて。
タイトルの名前はビーチボーイズ自身20枚目のアルバムから
視力検査の用語とかけている。

ジャケットにブライアン・ウィルソンがいない。
しかし、ジャケット内側の写真に検査を
もったブライアン・ウィルソンの写真がアップである。
相当不気味で、
また当時のブライアン・ウィルソンが簡単にメンバーと
集合写真とれない状態になっているように感じさせる。

不気味なジャケット、意味不明なアルバムのタイトル、
とちらかっていてアルバムに構成力がないという理由で、
どんなに水準の高い曲が多く収録されていても、
アルバム自体の評価はされないものの見本となってしまった。

1.恋のリバイバル – Do it Again –
2.アイ・キャン・ヒア・ミュージック – I Can Hear Music-
3.青空のブルーバード – Bluebirds over the Mountain –
4.ビー・ウィズ・ミー – Be with Me –
5.オール・アイ・ウォント・トゥ・ドゥ – All I Want to Do –
6.ザ・ニアレスト・ファーラウェイ・プレイス – The Nearest Faraway Place –
7.コットン・フィールズ – Cotton Fields (The Cotton Song) –
8.アイ・ウェント・トゥ・スリープ – I Went to Sleep –
9.タイム・トゥ・ゲット・アローン – Time to Get Alone –
10.ネヴァー・ラーン・ノット・トゥ・ラヴ – Never Learn Not to Love –
11.アワ・プレイヤー – Our Prayer –
12.キャビネッセンス – Cabinessence

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