ボブ・ディラン 『グレイテスト・ヒッツ Vol.2』


グレイテスト・ヒッツ Vol.2(紙ジャケット仕様)

1971年11月17日発売。
ボブ・ディランのベストアルバムである。
1967年3月に出た『グレイテスト・ヒッツ』以来のベストアルバム。
タイトルから、その続きという意味を持たせている。
ジャケットの写真も『グレイテスト・ヒッツ』に似たようにして、
重複する曲がないということも
ベストアルバムの続きという意味合い付けを強め、
また『グレイテスト・ヒッツ』購入者に対する配慮を見せている。

ただ当時のボブ・ディランのデビューの1962年から
バイク事故で活動を停止した1966年までをバランスよく選曲した
『グレイテスト・ヒッツ』と性格が大きく違う部分がある。
(正確には『グレイテスト・ヒッツ』は
2ndアルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(1963年)からの選曲が一番古い音源)

特筆すべきはこのアルバムにしか入っていない初出の未発表音源が5曲あるということである。
77分31秒の内14分51秒、約5分1が未発表音源が収録されていて、ウエイトがそれなりにある。
ボブ・ディランの音源を集める場合、ただのベストアルバムだからと無視することは出来ない。
中でも「アイ・シャル・ビー・リリースト」はボブ・ディランの代表曲のひとつとなっている。

さらに『グレイテスト・ヒッツ』と『グレイテスト・ヒッツ Vol.2』の間に
アルバム
『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(1967年)、
『ナッシュヴィル・スカイライン』( 1969年)、
『セルフ・ポートレイト』(1970年)、『新しい夜明け』(1970年)と
4枚(『セルフ・ポートレイト』はLP2枚組だから5枚)のオリジナル作が発表されているにも関わらず、
『グレイテスト・ヒッツ』に収録されていた時期のアルバムから
本作へ多く収録している。
『グレイテスト・ヒッツ』に選出された時期のオリジナルアルバムから20曲中9曲選ばれることになっている。

こういったアルバムの収録の仕方から見て、僕にはレコード会社側が
『グレイテスト・ヒッツ』以降に発表されたオリジナルアルバム4作品を
あまり評価してなかったのではと思えてならない。

このレコード会社の評価が
1967年から1972年までのボブ・ディランとの契約が切れた時の、
契約更新の際に、ボブ・ディラン側とのギャップを生み、
結果、ボブ・ディランがコロンビアから離れることになる原因となったのでは
と僕は考えている。
(ただ1974年にオリジナルアルバム『プラネット・ウェイヴズ』と
ザ・バンドとのライブアルバム『偉大なる復活』の2作出した後に、
翌年の1975年、またすぐにボブ・ディランはコロンビアに戻ってくる)

そういった様々な点でこのアルバムはただのベストアルバムとは違う意味を持っている。

このアルバムの売り上げはアメリカレコード協会から5xプラチナ・ディスクと認定され、
『グレイテスト・ヒッツ』と並んで、最も売れているボブ・ディランのアルバムとなっている。
ただアメリカのビルボード・トップ LP’sでは14位。イギリスでは12位が最高。
アルバム売り上げの最高位が低い。
にも拘わらず、これだけ売り上げたということは
ボブ・ディランが何かしら活動で人気が出る度に、
新しいファンが入門編として、
このアルバムを買っていきベストセラーとなっているという意味だと考えられる。

1.川の流れを見つめて – Watching the River Flow –
2.くよくよするなよ – Don’t Think Twice, It’s All Right –
3.レイ・レディ・レイ – Lay Lady Lay –
4.メンフィス・ブルース・アゲイン – Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again –
5.アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト – I’ll Be Your Baby Tonight –
6.オール・アイ・リアリー・ウォント – All I Really Want to Do –
7.マイ・バック・ページズ – My Back Pages –
8.マギーズ・ファーム – Maggie’s Farm –
9.今宵はきみと – Tonight I’ll Be Staying Here with You –
10.シー・ビロングズ・トゥ・ミー – She Belongs to Me –
11.見張塔からずっと – All Along the Watchtower –
12.マイティ・クイン – The Mighty Quinn (Quinn the Eskimo) –
13.親指トムのブルースのように – Just Like Tom Thumb’s Blues –
14.はげしい雨が降る – A Hard Rain’s a-Gonna Fall –
15.イフ・ナット・フォー・ユー – If Not for You –
16.イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー – It’s All Over Now, Baby Blue –
17.明日は遠く – Tomorrow is a Long Time (previously unreleased) –
18.マスターピース – When I Paint My Masterpiece (previously unreleased) –
19.アイ・シャル・ビー・リリースト – I Shall Be Released (previously unreleased) –
20.ゴーイング・ノーホエア – You Ain’t Going Nowhere (previously unreleased) –
21.ダウン・イン・ザ・フラッド – Down in the Flood (previously unreleased) –

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