ボブ・ディラン 『インフィデル』


Infidels

1983年10月27日発売。
1978年ボブ・ディランはユダヤ教からキリスト教に改宗した。
そしてその宗教的要素を表に出した
キリスト三部作『Slow Train Coming』(1979年)『Saved』(1980年)『Shot of Love』(1981年)で賛否を出していた。
この宗教色が強いアルバム群やそれを反映されたツアーの影響により
ファンが離れていき、アルバムの売り上げは落ちていく。

このままではまずいと思ったのかツアーの後、
ボブ・ディランは一年半、曲作りを兼ねて休養し
数十曲の曲を書き上げアルバム制作の準備をする。

『Slow Train Coming』でギターリストとして参加していた
ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーがプロデュースし、
レコーディングが開始される。
そこで16曲がレコーディングされるが、
レコーディングの途中、マーク・ノップラーがスケジュール上、
参加できなくなり新しくエンジニアを起用し、リミックスとリアレンジをして完成させる。

レコーディングされた16曲が8曲がここで収録されている。
アルバムから外れた8曲も5曲は『ボブディラン ブートレグシリーズ第1~3集』に収録、
特に外れた8曲のうちの1曲「ブラインド・ウィリー・マクテル」は世評が高く、
何故アルバムから外れたのか不思議がる人が多い。
外れた8曲も粒ぞろいで、このアルバムに興味を持たれた人は是非もらいたい。

内容はボブ・ディランのAOR、80年代のサウンドである。
リリカルなメロディーが多く、さわやかさを感じる。

まず、個人的にはボブ・ディランの『Street Legal』(1978年)あたりから意識したと考えられる
ボブ・ディランらしさを残しつつポップスさを引き出した歌唱がカッコいい。
演奏も心地よい。ドラムのスライ・ダンバー、ベースのロビー・シェイクスピアは
スライ&ロビーとしてレゲエでは有名なリズム隊らしい。
(僕はレゲエのアルバムを多くもっていないからその有名である、そのありがたさは残念ながら実感できない)
ギターでは元ローリングストーンズのミック・テイラーが参加。

このアルバムの歌詞はボブ・ディランとしては
日常的な社会問題と男女の行き違いをテーマにし
特別ひねった比喩や譬えを使わず、分かりやすい言葉を使っている。
タイトルの「Infidels」は日本語でいうと「異端」「異教徒」という意味で
これまでの宗教色があったアルバムではないということを言いたかったようにも見える。

キリスト三部作と比べるとメロディーの軽さ、
口当たりの良さを感じることができるこのアルバムは、
これからボブ・ディランを聴こうと考えている人にもおすすめとなっている。

1.ジョーカーマン – Jokerman
2.スウィートハート – Sweetheart Like You –
3.ネイバーフッドの暴れ者 – Neighborhood Bully –
4.ライセンス・トゥ・キル – License to Kill –
5.マン・オブ・ピース – Man of Peace –
6.ユニオン・サンダウン – Union Sundown –
7.アイ・アンド・アイ – I and I –
8.ドント・フォール・アパート・オン・ミー・トゥナイト – Don’t Fall Apart on Me Tonight

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