ビートルズ 『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』


ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル

2016年09月09日発売。
ビートルズは1964年のアメリカ進出以来、
イギリスを中心にしたヨーロッパだけだった人気がアメリカにも波及。
名実共に世界で一番人気のあるミュージシャンになった。

ビートルズの人気を支えていた人たちは主に20代の人たちであり、
コンサートでの悲鳴となっている歓声に30代以上の人たちは
冷たい目で見ていたことが想像できる。

1964年8月23日、アメリカのキャピタルは当時のビートルズの人気に乗じて
ライブアルバムを発売するべく、ロサンゼルスのハリウッドボウルにて録音する。
しかし録音状態が悪く、音質に難があり、ビートルズ側に却下される。
そこで再度、翌年1965年8月30日ハリウッドボウルで録音するが、またも音質を理由に却下される。
その後、ビートルズは1966年にコンサート活動を中止し、1970年に解散する。

1977年、ビートルズが1962年12月ドイツのハンブルクにて行われていたデビュー直後のライブを
アマチュアの人が勝手に録音した『1962 Live at the Star Club in Hamburg』が出回るようになっていた。
その対抗策として、お蔵入りになっていた
1964年と1965年のライブを録音したテープにできる限りノイズをなくして、
『The Beatles at the Hollywood Bowl』として発売された。
ビートルズのライブアルバムはなかったため、需要がもともと高かった。

それでも音質は悪く歓声が大きいこのアルバムはCD化されることがなかった。
そして39年後の2016年になり、
ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』の公開とともに、
技術の可能なかぎり修復されて、発売されることになる。
修復の過程はこちらの記事にて垣間見ることができる。
https://wired.jp/2017/03/19/remastering-one-beatles/

旧盤(旧盤はCD化されていないから、Youtubeで聴くしかできない)との違いは
ベースが真ん中に聞こえる、演奏(とく歌)にエコーが減っている。
歓声の音量がなくなったらしいが、あまりかわっていないように聞こえる。

歓声が凄まじい。
これでもだいぶ歓声の音量を下げているのから、
PAがない時代にあって実際は本当に自分たちの演奏が聞こえなかったのだろう。
(PAが登場したのは1967年になってから、
ビートルズがコンサートしていた時代にはPAはなかった)
3.「Dizzy Miss Lizzy」の演奏後、ポールマッカートニーが
MCで「聞こえますか?一緒に歌いましょう」と
やんわりとその歓声やめてよと言っているように聞こえる。

前述で紹介した記事に書かれていたように、
歓声はあえて演奏当時の雰囲気を感じてほしいため残したそうだ。
これだけの歓声をあえて残したということは
こんな歓声の中でビートルズはこれだけの演奏をしていたのですと言いたかったのかもしれない。
しかしそのおかげで音楽として聴くには歓声がとても耳について辛い。
いや、やはり歓声の音量は少しでも下げて欲しかった。

ボーナストラックとして
旧盤に収録されなかった音源4曲が追加された。
このボーナストラックのやり方は複雑だ。
僕は1964年、1965年ふたつのコンサート全部収録して発売して欲しかった。
この時にふたつのコンサートすべて録音された音源はブートレグとして出回っている。
ビートルズのコンサートの演奏時間は平均約30分だった。
この時代のロックバンドの一般的な時間である。
だからこのアルバムは実際のコンサート以上に収録されている。
そして仮にこの2日間すべて録音された音源をリリースするとしたら、
CD1枚ないし2枚で十分足りる。

たしかに録音の不備はあった。
1965年のコンサートの前半はポールマッカートニーのマイクが録音されていなかった。
だから聴いていて、難しい音源も存在する。
でもどうしても旧盤を尊重したいのなら、
1977年に発売されたアルバムの復刻と
ふたつのコンサートの完全収録の2つの形態で発売してもらいたかった。

公式では唯一のライブアルバム。
ビートルズアンソロジーやライブアットBBCにライブ音源があるのだが、
それも断片的で、しかもそのライブ音源も音質は良くなく、
音楽として聴くには少々つらいものがあった。
確かにこの時期のビートルズのライブ音源としては、最も音質がいいと思う。
それでもこの音質だから、
まるでビートルズの演奏がそこにいるようなライブアルバムは無理で、
やはりこの音質が限界だったのだろう。
ビートルズのライブ音源は貴重だ。
僕はビートルズのアルバムを集めていた大学時代(12年位前)から、
このアルバムがCD化することを望んでいた。
そういう意味でアルバムがCD化しただけで
期待した通りにならなかったけど、すっきりした気持ちがないわけではなかった。

01. Twist And Shout
02. She’s A Woman
03. Dizzy Miss Lizzy
04. Ticket To Ride
05. Can’t Buy Me Love
06. Things We Said Today
07. Roll Over Beethoven
08. Boys
09. A Hard Day’s Night
10. Help!
11. All My Loving
12. She Loves You
ボーナストラック

13. Long Tall Sally
14. You Can’t Do That
15. I Want To Hold Your Hand
16. Everybody’s Trying To Be My Baby
17. Baby’s In Black

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