ボブ・ディラン 『武道館』


ボブ・ディラン/武道館

1978年8月21日発売。
ローリングサンダーレビュー(1975年~1976年のツアー)の後、
ボブ・ディランは1977年は音楽活動をしなかった。
この間は映画『レナルド&クララ』(1978年公開)の編集、離婚調停に明け暮れていたといわれる。
採算度外視で行ったといわれるローリングサンダーレビューと映画『レナルド&クララ』の制作の費用、
さらに離婚調停による裁判費用、財産分与。
経済的に余裕をなくしていたようである。

翌年1978年にボブ・ディランは大規模なワールドツアーを行うことを決める。
1978年2月から12月までの全130ステージ。
ツアーは日本、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパ各地、そして最後はアメリカとなる。
最初のワールドツアーの場所として日本に初来日する。
日本は東京8回、大阪の3回。
1978年2月20日、武道館からスタートする。

この来日公演は当時相当に注目されたようで、
新聞に多く報じられ、
テレビでは
NHKのルポ・ドキュメンタリー『ボブ・ディランがやって来た』(1978年4月15日)という番組が放送される。
番組の内容はボブ・ディランについてどう思うのか、
著名人がボブ・ディランの来日で感じたことを手短に話す番組で
ボブ・ディランの武道館公演における映像もわずかながらあった。
ちなみにレポーターは小説家の村上龍である。
20代の若き村上龍の姿を見ることが出来る。
そのレポーターの好みで後の方はボブ・ディランと全く関係ない人とインタビューしている。
に対するインタビューやその人に対する想いを伝える部分が出てくる。
(個人的にはそれはそれで面白かった)

そこで日本のCBS・ソニーはライブ録音し、アルバムを発売することを提案し許可を得ることができた。
外国のミュージシャンが武道館でライブをするたびにライブ録音し
発売されていることが、続いていた。
ローリング・サンダー・レヴューの模様を録音した『激しい雨』(1976年)以来、のライブ・アルバム。

レコーディングは1978年2月28日・3月1日から取られた。
セットリストに沿って収録されている。
当初は日本のみで販売されていた、海外からの問い合わせや取り寄せが殺到。
世界的に発売される。

サウンドはボブ・ディランを含めて12人の大所帯のバンドで
ポップなサウンドである。
一曲目の「ミスター・タンブリン・マン」のフルートが印象的になっている。
個人的にはこのポップなサウンドは全体的に好きで、
この来日公演後の1978年4月に
『ストリート・リーガル』のレコーディングが行われる。(1978年7月15日発売)

その関係からサウンドは
『ストリート・リーガル』になっていて、
僕は往年の曲がストリート・リーガルアレンジとなっていると楽しんで聴いている。

ただ往年の曲はだいぶメロディーをだいぶ崩して歌い、
アレンジが原曲と大きく違うこともあって
何の歌か分からない曲もあった。
「風に吹かれて」が顕著で、最初ボブ・ディランが歌ったときは
観衆の大多数が気づかずに1番のだいぶ後になって
「How many time」
というフレーズが出て、ようやく気づきはじめて
歓声が少し沸いているということが起きている。

このアルバムは
2年前のローリングサンダーレビューにあった
音のアグレッシブさはなくなっている。
懐メロとは違う(元とアレンジが違いすぎる)
甘いポップサウンドのボブ・ディランを
くずしながら往年の曲を歌うボブ・ディランを
楽しむアルバムとなっている。

disk1
1.ミスター・タンブリン・マン – Mr. Tambourine Man –
2.嵐からの隠れ場所 – Shelter from the Storm –
3.ラブ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット – Love Minus Zero/No Limit –
4.やせっぽちのバラッド – Ballad of a Thin Man –
5.くよくよするなよ – Don’t Think Twice, It’s All Right –
6.マギーズ・ファーム – Maggie’s Farm –
7.コーヒーもう一杯 – One More Cup of Coffee (Valley Below) –
8.ライク・ア・ローリング・ストーン – Like a Rolling Stone –
9.アイ・シャル・ビー・リリースト – I Shall Be Released –
10.イズ・ユア・ラヴ・イン・ヴェイン – Is Your Love in Vain? –
11.ゴーイング・ゴーイング・ゴーン – Going, Going, Gone –

disk2
1.風に吹かれて – Blowin’ in the Wind –
2.女の如く – Just Like a Woman –
3.オー・シスター – Oh, Sister –
4.運命のひとひねり – Simple Twist of Fate –
5.見張塔からずっと – All Along the Watchtower –
6.アイ・ウォント・ユー – I Want You –
7.オール・アイ・リアリー・ウォント – All I Really Want to Do –
8.天国への扉 – Knockin’ on Heaven’s Door –
9.イッツ・オールライト・マ – It’s Alright, Ma (I’m Only Bleeding) –
10.いつまでも若く – Forever Young –
11.時代は変る – The Times They Are A-Changin’ –

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