バド・パウエル 『ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1』


【輸入盤】Amazing Vol.1 (Rmt) [ Bud Powell ]

以前に『ライブ・アット・マッセイホール』はバド・パウエルの全盛期の演奏でないと
書いた。
ではどの時期が全盛期といえるのか。

バド・パウエル(1924年9月27日 – 1966年7月31日))は主に時期を3つに区分できる。
1.1944年から1951年まで精神面が原因による入院するまでの期間
2.1953年から1958年までの退院後からパリへ移住するまでの期間
3.1959年からパリに移住した後の期間。

1.にあたる時期がいわゆる全盛期といわれている。
しかも希少性もかなり高い。
スタジオで録音されたアルバムでいうと
『The Amazing Bud Powell Vol. 1』、『The Amazing Bud Powell Vol. 2』、
『バド・パウエルの芸術 』、『Jazz Giant』の4つ。
ただし、『The Amazing Bud Powell Vol. 2』には1953年の演奏があり、
『バド・パウエルの芸術 』は収録の半分は1953年以降の演奏。

アルバムすべてに全盛期の演奏が収録されているものは
『Jazz Giant』とこのアルバムしかない。
もしかしたらコレクターズアイテムやブートレグを探せば、
さらにあるのかもしれないが、これが基本的な考えになるのではないだろうか。

アルバムを聴いてみる。
全体的に音色にダークさを感じる。
主に録音環境によるものなのだろうが、これが逆に演奏の妖しさを感じる。
演奏中のバド・パウエルによる、うめき声の多さ、
テンション高い演奏に狂気を感じられる。
ここがバド・パウエルらしさであり癖なのだが、
この良さに魅了されるとたしかにハマることができる。

選曲も面白い。
アルバムの冒頭「Un Poco Loco」を演奏している。
テイク1からピアノの音のテンションを感じられ、
うめき声からテンションの演奏中の高さを十分に感じられるのだろうが
プロデューサーのアルフレッド・ライオンは演奏がもっとよくなると考え、
OKとせず、3テイク録った。
OKテイクが一応テイク3に当たるわけだが、
3テイクとも素晴らしく、アルバムの冒頭に
この曲のテイクを3テイク連続して収録した。
この3曲を聴くだけで、バド・パウエルの暴発しそうなエネルギーを感じ取られ
「全盛期」を実感させられる。
テイク3のピアノ演奏中に
テイク1よりも大きなうめき声を出しつづけ、エネルギーの集中を感じられる。

緊張感のあるピアノの音、たしかにスリルがある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました