ボブ・ディラン 『アット・フィルハーモニック・ホール』


Bootleg Series Vol.6 Bob Dylan Live 1964 -Concert At Philharmonic Hall

2004年3月30日。
1964年10月31日ニューヨーク、フィルハーモニック・ホールでの
「ハロウィーン・コンサート」のライブ音源。
ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズの第6集として発売された。
基本的にボブ・ディランの自作曲の弾き語り(disk2 5のみトラディショナル曲のカヴァー)で、
音源の終盤にあたる3曲(disk2 5,6,7)にジョーン・バエズとディエットをしている。

1964年はボブ・ディランのフォークの弾き語りが
専業になっていた時代の最終年となっていて
このアルバムはそのフォークの弾き語り時期の集大成のアルバムとなっている。
この次の年1965年には、ボブ・ディランはエレキギターを持ち、
バンドを引き連れてロックミュージシャン化する。
(このライブの約2か月と半月後、
1965年1月13日に『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』の
レコーディングでバンド演奏をしている)
デビュー前のライブ音源、デビューアルバム『ボブ・ディラン』を聴いている今の耳からすると、
このアルバムからは円熟味を感じることが出来る、というより老熟しているのではとさえ感じる。
それぐらいこのアルバムの音源のボブ・ディランは
ジョークをいって観客を和ませながら、
落ち着いてフォークの弾き語りをしている。

『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』の項で書いたのだけど、
この弾き語りのフォーク時代を渋いと考えていて、
このアルバムもボブ・ディランのアルバムや音源を手に入れる一環として
持っていたが、やはり渋すぎて聴かずにいた。
『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』や『時代は変わる』で多少聴きなれた頃でも
このアルバムに対する気持ちは変わらず、渋いと感じるままであった。

このアルバムは今にして聴いて、ようやく聴けるようになった渋いアルバムである。
ボブ・ディランのアルバムの中で相当に渋い部類になるだろう。
上には上があって、ボブ・ディランのこれより渋いアルバムはあるには、ある。
ただこのアルバムを聴き楽しめるようになれば、
もうボブ・ディランが渋すぎて聴けないということなくなるだろうと思う。
とりあえずの一つの通過点、
僕自身もまるでどこかのご褒美のようにこのアルバムを聴き楽しんでいる。

Disc 1

1.時代は変る – The Times They Are a-Changin’ –
2.スパニッシュ・ハーレム・インシデント – Spanish Harlem Incident –
3.ジョン・バーチ・パラノイド・ブルース – Talkin’ John Birch Paranoid Blues –
4.ラモーナに – To Ramona –
5.デイヴィー・ムーアを殺したのは誰? – Who Killed Davey Moore? –
6.エデンの門 – Gates of Eden –
7.出いくのなら – If You Gotta Go, Go Now (Or Else You Got to Stay All Night) –
8.イッツ・オールライト・マ – It’s Alright, Ma (I’m Only Bleeding) –
9.アイ・ドント・ビリーヴ・ユウ – I Don’t Believe You (She Acts Like We Never Met) –
10.ミスター・タンブリン・マン – Mr. Tambourine Man –
11.はげしい雨が降る – A Hard Rain’s a-Gonna Fall –

Disc 2

1.第3次世界大戦を語るブルース – Talkin’ World War III Blues –
2.くよくよするなよ – Don’t Think Twice, It’s All Right –
3.ハッティ・キャロルの寂しい死 – The Lonesome Death of Hattie Carroll –
4.ママ、ユー・ビーン・オン・マイ・マインド – Mama, You Been on My Mind –
5.銀の剣 – Silver Dagger –
6.神が味方 – With God on Our Side –
7.悲しきベイブ – It Ain’t Me, Babe –
8.オール・アイ・リアリー・ウォント – All I Really Want to Do –

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