ザ・タイガース 『タイガース40thメモリアルBEST+チャリティーショーLIVE』


タイガース40thメモリアルBEST+チャリティーショーLIVE

沢田研二 『G.S.I LOVE YOU』で
彼について少し興味を持ちだしたので
またGSについて、より深く知ろうと思ったため
タイガースのこのベスト盤を聴いて、できる限り正直に感想を書こうと思う。

特に書きたいのはやはり当時のGSの実情が垣間見れる
Disk2のライブ音源について。
このライブ音源は1967年12月13日、
大手町サンケイホールで行われた
「ザ・タイガース・チャリティー・ショー」が収録されている。
アルバムの中にあるライナーノーツによると
全盛期を収録されたライブ音源はこれが唯一だそう。

聴いてまず思ったことは、歓声が凄まじいということだ。
昔、ビートルズが日本の観客が静かで演奏をちゃんと聴いてくれて
自分たちの演奏が聞こえていたという話があるのだが、
この歓声を聞いて、ほんとかという話である。
アメリカやイギリスよりは静かだということなのだろうか。
この時期、演奏を聴かずとりあえず歓声騒ぎ出すことは
世界的な行動だったみたいだ。

1曲目はローリングストーンズ「サティスファクション」から始まる。
ローリングストーンズ、ビージーズ、モンキーズといった
大部分が洋楽のカヴァーになっていて
当時の海外の人気ロックバンドを臆面もなく演奏している姿が微笑ましい。
ビージーズのカヴァーが多いのが個人的に面白いと思った。
これだけ演奏をしてビートルズがないのは彼らなりのプライドなのだろう。

沢田研二に注目して聴いてみると、
この当時の沢田研二はまだあまり高音が出ていないということを感じられる。
このアルバムと並行して、彼のソロのベスト盤で70年代の曲を聴いたのだが
キャリアを重ねれば重ねるほど声が出ているところが面白い。
録音の関係もあるのだろうけれども、少なくても80年代の方が声が出ている。

ライブの後半、日本語で歌うオリジナル曲「シーサイド・バウンド」で
いきなり水を得た魚のように楽しくなる。
このポップスとビートを追求した曲を掘り下げていけば
日本のロック歴史は変わったっていたのではないかと思ったのが
それは「たられば」という話なのだろう。

またこの曲を聴いて気づいたことなのだが、
このライブ音源においてドラムの音にビートを確かに感じられる、ということだ。
タイガースだけでなくGS全般にいえるのだが、
GSはビートが弱く、特にドラムのキックとスネアの音が細い。
ロックとして聴くとビートの太さが足りないと思う。
僕は演奏やドラムセットによるものなのだろうかと思っていたのだが
このライブ盤を聴く限り、ドラムによるビートの音がGS特有のあの細い音でないことからして
細いドラムの音は録音によるものが大きいのではないかという仮説が導いた。

はっぴぃえんどのメンバーで細野晴臣が
1stアルバムの演奏を綺麗に録りすぎたことに不満を持ち、
2ndアルバム『風街ロマン』で吉野金次をエンジニアに起用した話があるが、
僕はこのドラムの音について聴いたとき、その話を思い出す。

コピーと消化をしきれないまま突っ込んだ感がある、このライブの歌と演奏を聴くには
歴史性を考慮しないと結構つらいものがある。
僕にはこの音源を聴いて、大学生が必死に洋楽をコピーしている姿が思い浮かぶ。
演奏を聴く限り、かなり粗く、
しかしひたむきさを感じられる部分は共通しているところがある。
もっとも洋楽をコピーしている大学生とタイガースだと演奏した後の結果が違うけれど。

GSを貶めしてニューミュージックの元祖とするはっぴぃえんどを美化することは
全く分からなくもなく、またそれはそれでかなり簡単にいえることかもしれない。
けれどこのGSの人気バンドの全盛のこの音源、
今から聴くとまるでアマチュアの、それもお世辞にも上手いといえない方のこの演奏から
僕は日常を楽しくし、心を熱くするものとして人々に受け入れられ、人気が出てくることで
ロックやポップスは普及し支えられ、また音楽は育っていくものだと感じ取った。

ディスク:1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. モナリザの微笑
5. 君だけに愛を
6. 落葉の物語
7. 銀河のロマンス
8. 花の首飾り
9. シー・シー・シー
10. 白夜の騎士
11. 廃虚の鳩
12. 光ある世界
13. 青い鳥
14. ジンジン・バンバン
15. 美しき愛の掟
16. 風は知らない
17. 嘆き
18. スマイル・フォー・ミー
19. 淋しい雨
20. ラヴ・ラヴ・ラヴ
21. 都会
22. 誓いの明日
23. 出発のほかに何がある
24. 星のプリンス

ディスク:2
1. サティスファクション
2. ラスト・タイム
3. マイ・ガール
4. ニューヨーク炭坑の悲劇
5. オーケイ!
6. ブルー・シャトウ
7. タイム・イズ・オン・マイ・サイド
8. タイガースのテーマ(モンキーズのテーマ)
9. ダンス天国~ラ・ラ・ラ
10. ホリデイ
11. 僕のマリー
12. シーサイド・バウンド
13. モナリザの微笑
14. ローリング・ストーンズ・メドレー/エブリバディ・ニーズ・サムバディ~アイム・オール・ライト

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