大沢誉志幸 『CONFUSION』


CONFUSION

1984年7月10日発売。
大沢誉志幸の3rdアルバム。
海外レコーディングがメインで、
演奏陣が海外のスタジオミュージシャンが多数参加している。
当時の大沢誉志幸はまだブレークしておらず、
当時のプロデューサー木崎 賢治が
吉川晃司も担当しており、吉川晃司が売れたことによる「ご褒美」で
豪華なレコーディングが実現した。
https://www.musicman-net.com/relay/63254

演奏陣にミッキー・カリー(ドラム)、トニー・レヴィン(ベース)と
いった海外の著名スタジオミュージシャンを起用し、
素晴らしい演奏に大村雅朗がサウンドを構築しているところが聴きどころ。
演奏と録音の素晴らしさが耳として心地よくて
そのことだけでも、聴いて良かったと思わせる。

代表曲2.が収録されていることもあり、
彼のアルバムとして最初に手にするとしておススメのアルバムとなっている。

全曲作詞:銀色夏生
01、10大沢誉志幸
全曲作曲:大沢誉志幸
全曲作曲:大村雅朗

1.Confusion
★★★★☆
オープニングから躍動感があるナンバー。
シンセのようなパーカッションの高音と打ち込みのようで
生演奏のドラム・ベース演奏隊が絡んだビートが気持ちいい。

2.そして僕は途方に暮れる
★★★★★
大沢誉志幸の代表曲。
同時に作詞家・銀色夏生、編曲家・大村雅朗の代表作でもある。
歌詞・メロディー・サウンド・演奏が完璧。

サウンドは大村雅朗の職人的アレンジの見本で、
僕もスコアを買って、勉強をした。
大村雅朗のアレンジは総括すると
多くのアーティストに対して、
もともと打ち込み気味のアレンジしており、
この曲では彼らしさが十分に発揮している。

演奏は打ち込みのようで、生演奏。
1984年当時の録音技術で
これだけリアルな生音のサンプリングは不可能。
そしてその演奏は単純ながら本当に上手い。
これもDTMでベタ打ち込みして実感した。

その曲を分析し、自身のDAWでスコア通りに入力するといった作業で
気がついた事だけれど、
この曲で肝になる要素に意外な話、
そうした実際の演奏の際のノイズがあると思う。
ギターのフレットノイズを代表する
演奏するときにノイズがこの曲に生々しさを与えられていて、
こういった一見見逃しがちな雑音が
この曲の良く言えばシンプルだが、
下手をすると単調になりがちなアレンジに
退屈さを避け、音楽にリアリティーを感じさせる。
僕は演奏の音色のすばらしさと一聴したら聞き逃す些細に思える音が
音楽にとってクオリティーを高めることに必要だと
この曲が教えてくれた気がする。

大村雅朗のアレンジは傾向として、
端正に整理されているという部分と同時に、
それゆえ整理されすぎて、情緒さにかけていると感じるところが
僕の正直な考えである。
けれど、この曲にある生演奏の部分は
そういった欠点を補っているのではという考えがある。
大村雅朗は1997年に亡くなった。
2000年代以降の生演奏が要らなくなっていく、
DAWでのレコーディングが普及した後に
もし生きていたら、どのようなサウンドを構築していたのだろうか。

作詞面も銀色夏生の得意なキャッチコピーな部分と
物語の部分が見事に組み合わさっている。
作詞だけでも読んで楽しませてくれる。

3.雨のタップダンス★★★★
ピアノまで持たせる20秒のSEが凄い。
これこそ音色の素晴らしさなのだが、
こういった丁寧な作りこみが音楽なんだよなと痛感する。
メロディー・歌詞は王道のバラードらしく綺麗で、
「そして僕は途方に暮れる」の後にもかかわらず、
油断できないと思わせる。

4.Free way★★★
単調なメロディーが続く、ミディアムな曲で、ここで一休憩という印象を与える。

5.その気×××(mistake)
★★★★☆
「×××」で「ミステイク」と読む。
歌詞の内容はタイトルどおり、
性的なテーマであり、全体的にそういった言葉で埋められている。
しかしそこまで、
歌詞自体にいい意味で色気を感じさせず、
むしろ清潔感を与えているところは
銀色夏生の持ち味だと思う。

個人的にはyoutubeで
この曲のライブ演奏を聴いて
この曲のオリジナル音源が欲しくなり、
アルバムを買った経緯がある。

6.Living Inside
★★★☆
イントロのカッティングギターから始まり、リズム隊、ホーンが入る演奏がかっこいい。
メロディーもかっこいいのだが、
音程をはずしたような歌唱が個人的には気になる。
もし歌いこみで解決するのなら、解決して欲しかった。 

7.彼女の向こう側 
★★★★
抑揚さとポップさ、アレンジの美しさが見事に混ざった曲。
シンセのシーケンシャルが効果的に使われている。

8.ダーリン小指を立てないで
★★★☆
ファンクでジャッジーなナンバー。
メロディーは淡泊。
というよりそういった曲を、メロディーは淡泊なのではないか。
だからこそ演奏が大事なのだが、演奏は本当に聴きどころ
演奏を聴くためにある曲だとしても聴いていて気持ちいい。
「彼女の向こう側」からアルバム曲のメロディーが段々と単調になっていくのだが、
繰り返し聴いた今となっては、ここから息切れ感が始まっていることを否めない。

9.BROKEN HEART
★★★
シンセから始まるスローなナンバー。
メロディーが単調である。
とはいえ聴いていて退屈になりきれないのは
アレンジと演奏が素晴らしいということを示していると思う。
アレンジと演奏で救われている曲。

10.ウーレイ
★★
こちらはアレンジと演奏でも救いきれなかった曲。
無理やり作った感が否めない。
アルバムが尻途切れトンボみたいに終わる。
ラストナンバーには必ずしもアルバムの代表曲を入れる必要はないが、
もう一曲欲しかった。

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