1979年3月19日発売。
「ブライアン・イズ・バック」とは何だったのだろうか。
無理に復活をアピールしたキャンペーンはほんの一時期効果があっただけ、
売り上げも『15・ビッグ・ワンズ』（1976年、全米8位）だけ
アメリカでアルバム週間チャートでベストテンに入っただけだった。
その後アルバムとして売り上げは低迷。
（『ラヴ・ユー』（1977年、全米53位）『M.I.U. アルバム』（1978年、全米151位））
売り上げが見込めないビーチボーイズは
ここで数年続いたワーナーとの契約も切れてしまう。
その代わりに契約をした（してもらった）会社はCBSのカリブ・レコードであった。
アルバム制作の際、
1971年当時のマネージャーに解雇されたブルース・ジョンストンがプロデュースを任され、
ビーチボーイズとしても復帰することとなる。
タイトルは「L.A」と書いて、「Light Album」と読む。
タイトル通り光のアルバム、
それとビーチボーイズの地元であるロサンゼルス「L.A」を掛けているのだろう。
ジャケットもそうだけれども、
前作になかった派手さを取り入れている。
アルバムの中身は各メンバーがソロを少し手を加えて、収録された性格もあって、
そういう意味で、バラバラ感がある。
特にデニス・ウィルソンが作曲した作品
（5.「ラヴ・サラウンズ・ミー」、8.「ベイビー・ブルー」）は
もともと次の2ndソロ・アルバム『バンブー』として用意された曲だった。
ただ『バンブー』はレコード会社から発売を拒否される。
そこでこのアルバムからミックスを修正し2曲流用された。
アルバム収録曲を見てみよう。
1.「グッド・タイミン」は往年のビーチボーイズに通じるコーラスとメロディの美しさを堪能できる曲。
2.「レディ・リンダ」はアル・ジャーディンと
前作のプロデュースに名を連ねていたロン・アルトバックが書いた曲で
この曲は今までなかったビーチボーイズのテイストでしかもメロディがクラシック的に美しいリリカルな曲。
実際にイントロはしている。聴いたことなければ、是非聴いてもらいたいくらいの傑出した曲。
3.「フル・セイル」はカール・ウィルソンのソロ感が強いけれど、この曲もメロディが美しい
4.「エンジェル・カム」はカール・ウィルソン（とジェフリー・クーシング・マレー）が曲を作り、
デニス・ウィルソンが歌う。
美しい声、美しいメロディが3曲続いて、テイストを変えたかったのだろう。
ざらついた声がメロディの美しさとあって、アルバムに聴き飽きないようにしている。
5.「ラヴ・サラウンズ・ミー 」はR＆B色が強い、デニス・ウィルソンのカッコよさを感じる。
6.「想い出のスマハマ」は欧米から見た日本が舞台の曲。
ステレオタイプになっていて、偏見がコメディになったいる。
メロディは47抜きでこれはこれで味が合って印象のあるメロディ
7.「ヒア・カムズ・ザ・ナイト」は『ワイルド・ハニー』（1967年）に
収録されていた曲で、
それをディスコ・バージョンにしたもの。
もともとブルース・ジョンストンが
「ヒア・カムズ・ザ・ナイト」をディスコ・バージョンしようとしたものを
アーティストに制作してもらおうと思ったところ、
自身がビーチボーイズに復帰する際、
本家ビーチボーイズでディスコ・バージョンが実現したものだった。
この曲が特に批判が強いけれど、僕はこれはこれで楽しめている。
6.「想い出のスマハマ」と7.「ヒア・カムズ・ザ・ナイト」は
ツッコミどころがある曲ではあるけれども、僕は両曲ともいいと思っている。
8.「ベイビー・ブルー」はデニス・ウィルソンによるバラード、
これもソロ・アルバムの予定だった曲の流用。
ややマンネリ気味、よくあるデニス・ウィルソンのバラードもの感は出てきているが、
アルバム通して聴くと心地よい。
9.「ゴーイン・サウス」はカール・ウィルソンのボーカルによる淡々としたバラード。
10.「ショートニン・ブレッド」は
『ラヴ・ユー』に入っていそうな曲。ツッコミどころはあるけれど
『ラヴ・ユー』タイプの曲も突然聴くと新鮮さがある。
9.「ゴーイン・サウス」、10.「ショートニン・ブレッド」は
曲として聴きどころはあるけれど、アルバムの終わり方としては流れが悪いと僕は思う。
曲順の修正やもう一つアルバムを終わらせる曲が欲しかった。
ツッコミどころやツメの甘さはとてもある。
ただビーチボーイズのアルバム・レビューでは珍しく全曲解説してしまった。
それぐらい魅力、聴きどころはかなりある。
個人的には『M.I.U. アルバム』よりも聴いているアルバムである。
1.グッド・タイミン – Good Timin’
2.レディ・リンダ – Lady Lynda
3.フル・セイル – Full Sail
4.エンジェル・カム・ホーム – Angel Come Home
5.ラヴ・サラウンズ・ミー – Love Surrounds Me
6.想い出のスマハマ – Sumahama
7.ヒア・カムズ・ザ・ナイト – Here Comes the Night
8.ベイビー・ブルー – Baby Blue
9.ゴーイン・サウス – Goin’ South
10ショートニン・ブレッド – Shortenin’ Bread
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