19 『無限大』


無限大

2000年7月26日発売。
19の2ndアルバムである。

326が事務所の方針で脱退する。
326の得意だった青々しい歌詞がなくなる。
正直必ずしも僕は岡平健治、岩瀬敬吾の歌詞が
必ずしも手放しで素晴らしいと思わず
もう少し326をメンバーとして残してあげればよかったと思ってしまう。

サウンド面もネオアコ色がなくなり、ストレートなロックになっている。
ただ王道のロック、やや翳りのあるロック、フォークバラード、ジャズボーカルと
いったサウンドを取り上げて
出来るだけ多彩で幅広げようとしていることは伺える。
岡平健治、岩瀬敬吾もサウンドに関与する比重が増えた。

大雑把に分けると、
岡平健治は素朴でストレートな曲。
岩瀬敬吾はやや翳りのあるひねた曲と別れる。
これは326が歌詞を書かなくなったことにより顕著になった。

作詞作曲面では岡平健治がボーナス曲含めて13曲中8曲、
作曲だけで考えると13曲中9曲となり、
岡平健治が作曲面で大きく引っ張ているのだが
しかし翳りのあるひねた岩瀬敬吾の楽曲が
一本調子になりがちな岡平健治の楽曲を救っている。
このアルバムでは2人の個性が上手く補強し機能している。

作詞作曲 岡平健治(1,3,5,6,9,10,12,ボーナス)
     岩瀬敬吾(2,4,8,11)
7.作詞 326 作曲 岡平健治

編曲 茂村泰彦(1,2,3,7,11)
千葉貴俊(5,9)
五十嵐淳一(4)
朝三憲一(8)
岡平健治(1,3,5,6,9,10,12)
   岩瀬敬吾(2,4,10,11)

1.『果てのない道』
「あの紙ヒコーキ くもり空わって」に次ぐ、19の代表曲。
岡平健治が持っている資質の得意なストレートなロックと素朴なやさしさが
この曲では十二分に発揮していて魅力となっている。

2000年4月21日に4thシングルとして発売。
売り上げは326がいなくなった後のパワーもなんとか埋められた。

2.今、つかれた今
翳りの感じる抑うつなロック。
 
3.大自然
素朴さ全開、というより「大自然」という素朴をテーマにしている。

4.僕の歌とあなたの歌
岩瀬敬吾に翳りのあるロックバラード。
ここまで岩瀬敬吾の翳りのある世界観を出した曲で
岡平健治が歌うパートがあることが、
貴重で聴きどころだと思う。

5.スマイル
素朴なポップソング。

6.熊じいちゃん
弾き語り中心で歌いそうな曲で、小さい作品で
それだとこじんまりしすぎるので
アレンジで可能な限りドラマチックにしている。
特に仰々しいアウトロは必要だったのだと思う。

ここまでアルバムの構成は面白いほど、簡単に作られている。
交互に曲調を明暗分けていて
1から6まで奇数が明るい曲、群数が暗い曲と単純に分けている。
ここまでをひとまとめ、一区切りにし、
アルバムの中で異質の「すべてへ」とつなげている。

7.すべてへ
1999年10月21日に3rdシングルとして発売された。
個人的には19の最高傑作だと思っている。
「すべてへ」というタイトルにふさわしい
スケールの大きさ、決してタイトル負けしていない表現力。
このシングルを最後に326は19を脱退。
これだけの歌詞を書く326を脱退させたのは
事務所側はイメージの方向転換したかったのだと思うが
とても惜しい。
サウンドも可能な限り作りこまれ、
曲のポテンシャルを最大限に発揮している。

8.キネマ
いかにもジャズを取り入れた、それありきの曲だが
岩瀬敬吾の好奇心を感じられる。
楽曲としては弱いのだが、この好奇心あって幅を広げようとしたことで
岡平健治のよく言えばストレート、悪く言えば一本調子のアルバム収録曲を
救い出している。

9.陸王
バイクを走らせるというテーマだけのストレートなロック。
3B LAB.☆Sのメンバーとなる千葉貴俊がアレンジに参加。
実際に後の3B LAB.☆Sで歌ってもまったく問題ない歌となっている。

10.以心伝心
弾き語り中心の歌なのだが、イントロのアルペジオしているアコギの音が
アコギっぽい音がしていない。
シンプルだが、いやシンプルだからこそ、こういった音の加工が必要なんだと思う。
遠距離恋愛をテーマにした歌なのだが、
なかなか会えない気持ちを等身大であらわす内容でファンの間で人気が高い。
当時僕が通っていた高校でこの歌を唄っている人が多かった。

11.硬まれ、コンクリート
『果てのない道』のカップリングとして収録されていた。
このアルバムの岩瀬敬吾作の中でもっともストレートでポップ。
でも岡平健治にはない表現が確かにある。

12.「伝えたい音」
ストレートバラード。
「以心伝心」に曲調が似ている、こちらはピアノを伴奏にしている。

ボーナス.ベーゴマ
このアルバムのトラックは全部で21トラックある。
13トラックから18トラックは1トラック毎5秒の空白なわけなのだが
19トラックから「ベーゴマ」という曲が登場する。
ボーカルはクレジットされていない、誰だろうか。
当時は僕は326だと思っていたが違うようだ。

クレジット一覧にspecial thanksで大勢書かれている中で
最後に326と大きく書かれている。
19のメンバーとしての
事務所や売り込みに対する不満へのギリギリの抵抗を見せている気がする、
と書くのは少し邪推しすぎだが書いてみる。

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