19 『音楽』


音楽

1999年7月23日発売。
19のファーストアルバムである。

19は1998年11月、岡平健治、岩瀬敬吾、326の3人でデビュー。
2ndアルバムの途中に326が脱退(事務所から脱退させられる)、
以後二人組として活動し2002年3月に解散する。
自分(1987年生まれ)より世代下の人には知らない人がいるのかもしれない。

ゆずがブレークした後、無数のフォークグループが登場した。
そのほとんどは数年程で消えてゆく。
19もそのうちの1つに位置づけられるかもしれない。
しかし19の活動中は当時ゆずと並ぶ人気があったグループであった。
実際にこのアルバムの売り上げは累計99.0万枚、1999年度年間26位(オリコン)となっていて、
同時期のゆず『ゆずえん』(1999年10月14日)の1999年度年間24位(オリコン)にアルバムの売り上げで肉薄している。

僕は高校のときはゆずを聴いていなく、19をよく聴いていた。
モノトーンな印象のあった当時のゆずに対して、19はカラフルさと華やかさを感じていた。
そこに魅力を感じていたのかもしれない。
あの時は当たり前のように人気グループとして精力的に活動している姿を
よく音楽番組で見ていた。
だから何の前触れもないように解散したことを不思議と違和感を感じていた。

わずかデビューして4年弱で解散と短命であった。
なぜ解散したのか諸説あり、
テレビ(2013年5月「1番ソングSHOW」)で事務所とトラブルを抱えていたことを
当時のメンバーが語っていたが
少なくてももともと岡平健治と岩瀬敬吾の音楽性はかなり違っていて、
もともとかなり早く解散する可能性は高かったと思う。

今思えば2ndアルバム『無限大』(2000年7月26日)からしてバラバラになっていた気がする。
もう3rdアルバム『up to you 』(2001年9月27日)になると
収録曲の大半は岡平健治は3B LAB.☆Sとして、岩瀬敬吾はソロとして別々にレコーディングしていて
まるで別々のユニットがコンピレーションアルバムとして共同でアルバムが収録したみたいになっている。
それでもこのアルバムは
短命なグループのもっとも一体となっている時期の作品でありグループとしてまとまりを感じられる。

サウンドは多彩で茂村泰彦、熊谷憲康、松田文、千葉貴俊、木村玲がアレンジを担当し
アレンジは外部から起用している。
アコギがセミアコに近い音がし、キーボードの音に対する比重を高くしネオアコ色がある。
ただネオアコとしてみると、ストレートなロック色が強い。
この時期、彼らは自分のジャンルをネオフォークと名乗っていた。

歌詞の大半は326が担当し、青々しい言葉がこのアルバムの世界観を作っている。
326は次のアルバムの途中で脱退するから、
アルバム全体で326の歌詞を聴けるのはこの作品が唯一。

岡平健治と岩瀬敬吾の音楽的に弱い部分を上手く補強して、
輝いている部分を掬い取ることに成功している。

作詞 326
326&岡平健治(7)
326&岩瀬敬吾(10)
岩瀬敬吾(8,12)
岡平健治(11,13)

作曲 岡平健治(2,4,5,6,7,11,13)
岩瀬敬吾(3,8,10,12)
19(9)

編曲 茂村泰彦(2,3,4,5,8,9)
熊谷憲康,岩瀬敬吾,岡平健治(6)
熊谷憲康,木村玲,岩瀬敬吾,岡平健治(13)
松田文(10)
松田文,岩瀬敬吾,岡平健治(12)
岩瀬敬吾,岡平健治(7,11)

1.言葉
「音楽で話そう 言葉なんて追い越してさぁ… この地球の音楽で…。」
という詩を島本須美が音読する。

島本須美は
宮崎駿監督作の長編アニメ『風の谷のナウシカ』で
ヒロイン・ナウシカ役で有名。

2.あの青をこえて
デビューシングルとして1998年11月21日に発売されている。
発売当初はオリコン圏外だったらしい。

3.テーマソング
半分は高校時代に書いものと
と歌詞カードに書いている。

4.恋
失恋について326の世界観で表現。

5.春流れる
朗らかさであるが、あしゃれとポップさがある。

6.西暦前進2000年→ ~新~
シングル『あの青をこえて』のカップリング。
イントロ、全体的にミックスが結構違う。

7.階段
326の詩にメロディーが乗かったようだ。
弾き語り中心のサウンド、
弾き語りでもできるがそれだと退屈だとして
サウンドエフェクト、よこやりみたいな掛け声を足していることが
ポップスとして聴くには大事だと痛感させられる。

8.三分間日記
4分26秒で自分の見回り、日常について語る

9.あの紙ヒコーキ くもり空わって

代表曲。1999年3月20日に2ndシングルとして発売。
この曲の大ヒットで19は一躍有名になる。
メーヴェは恐らく『風の谷のナウシカ』で登場するグライダーのことだと思う。
そのつながりで島本須美を起用したのだろうか。

10.まばたき
小さなポップスでラブソングだけど
ここまで完成度を高いのは難しい。

11.『ガソリン』
岡平健治が愛用していたバイクについて歌っていて、
弾き語りとなっている。
岡平健治らしさが出ている。

12.ビルはほど遠い街
都会の一人暮らしがテーマで、結果的にシティポップ色が出た。

13.瞬間概念
「僕の風呂のない部屋 何も無い部屋 遊びにおいでよ」
という一節が当時の生活感を感じる。
サウンドは凝っていてこれがフォークとしてはカラフルさを感じるのだと思う。

14『スピーカーの前の君へ』
ここで326の詩が3分程音読され、
1の詩にメロディーが乗っかる。

それにしてもアルバムのケース内側にある326が書いた言葉
「多分ね?多分、ずっと19でいたいんだ…だからだと思う。」という一節は
その後、事務所の方針で2人にさせられることを知らずに書いた326の、
そして決して長くない活動期間だった19の刹那的なものを感じさせる。

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