1967年12月11日発売。
『スマイリー・スマイル』(1967年9月11日)からわずか3カ月後に発売された。
『スマイリー・スマイル』は、
結局完成できず発売中止された『スマイル』のアウトテイク集のようなアルバムであった。
『スマイル』という素材から無理にかき集めて作った『スマイリー・スマイル』。
ここから、ブライアン・ウィルソンは作曲を含めた、音楽活動が減少していく。
このアルバムは大半をブライアン・ウィルソンが作曲を担当。
それでもブライアン・ウィルソン不在を感じさせるのは、
前作まであったブライアン・ウィルソンのボーカルが激減したことからくるのかもしれない。
ボーカルはそれまで、
高音パートのボーカルをブライアン・ウィルソンが中心に歌っていたけれど、
このアルバムからカール・ウィルソンが歌うようになる。
一聴して、どちらがどちらがと分からない曲があるくらい
カール・ウィルソンの歌声はブライアン・ウィルソンに似ている。
ブライアン・ウィルソンが歌わなくなった分だけ
カール・ウィルソンへとボーカルが変わっていくことになる。
このアルバムはとちらかっている。
『スマイリー・スマイル』と違って、
アルバムを制作しまとめる気は感じられるけれど、
それでもバラけているには変わりなく、
ラフさを感じる。
そしてビートはシンプルであるけれども、ソウルさを感じる。
おそらくこのアルバムはカール・ウィルソンが主導になって制作されたのだろう。
後のこのソウルさは『カール・アンド・ザ・パッションズ – ソー・タフ』(1972)を感じさせる。
カール・ウィルソンが目指したかったサウンドは
より洗練された『カール・アンド・ザ・パッションズ – ソー・タフ』
ではなかったのかとさえ感じさせることがある。
それでも、僕はこのフォーク色とサイケデリック色が
混ざっているこのサウンドは気に入っていて、
『カール・アンド・ザ・パッションズ – ソー・タフ』にはない、世界観がある。
ツメが甘く、楽曲を揃え切れていないところ、
僕が気に入っているいくつかのビーチボーイズのアルバムで起きていることが
このアルバムにもあって、それが評価を下げているところだと思う。
「実験的な内容」という評価が残念だ。
1.ワイルド・ハニー – Wild Honey
2.うれしくないかい – Aren’t You Glad
3.愛するあの娘に – I Was Made to Love Her
4.カントリー・エアー – Country Air
5.ア・シング・オア・トゥー – A Thing or Two
6.ダーリン – Darlin’
7.アイド・ラヴ・ジャスト・ワンス・トゥ・シー・ユー – I’d Love Just Once to See You
8.ヒア・カムズ・ザ・ナイト – Here Comes the Night
9.風を吹かせろ – Let the Wind Blow
10.すてきなブーガルー – How She Boogalooed It
11.ママ・セズ – Mama Says
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