1985年6月10日発売。
1983年デニス・ウィルソンが亡くなった。
酒に酔って溺れたことが原因だった。
メンバー唯一の実際にサ―ファーであった彼の
正真正銘のビーチボーイらしい最後にも見える。
そんな彼はアメリカでは
水兵にしか許されていない水葬を特別に許可されてもらい弔われる。
このデニス・ウィルソンの死によって
すでに空中分解状態だったビーチ・ボーイズが
一時的に結束するようになり、
ついに『キーピン・ザ・サマー・アライヴ』(1980年)以来の
5年ぶりのオリジナル・アルバムを制作することとなる。
プロデューサーはスティーヴ・レヴィンを起用。
スティーヴ・レヴィンは当時カルチャー・クラブのプロデューサーとして知られていた。
スティーヴ・レヴィンの提案でロンドンでレコーディングすることになった。
さらに彼は話題性を集めるためにでスティーヴィー・ワンダー(10)と
カルチャー・クラブ(7)にも曲を提供してもらう。
ギターではゲイリー・ムーアが(4、5)に参加している。
6.にはリンゴ・スターがドラムを担当。
ビーチボーイズに元ビートルズが参加しているという面白い組み合わせ、
話題性だけでなく音楽的にもしっかりリンゴ・スターは貢献している。
この曲の聴きどころはなんといっても
1.だろう。
作曲はマイク・ラブとこの後、
ビーチボーイズと関わりが大きくなるテリー・メルチャーの二人。
ブライアン・ウィルソンが作曲にかかわっていない。
しかしこの曲でフューチャーされている彼によるファルセットと
エンディングのフレーズのややしがれた声がこの曲にとって必要な要素であり、
ビーチボーイズでないといけない曲になっている。
その他、言及したいことはたくさんあるのだけれど、
長く細かくなりそうなのでここでは省略する。
個人的にはビーチボーイズのベストソングである。
80年代サウンドのビーチ・ボーイズのオリジナル・アルバムはこのアルバムだけ。
(強いて挙げれば『スティル・クルージン』(1989年)があるけれども、
実質コンピレーション・アルバム)
アルバム収録曲で凡曲としかいえない曲や
個人的に気に入っている曲でも冗長な部分やツメの甘さがあるけれども、
80年代を感じさせるきらびやかなポップスとビーチボーイズの魅力が合わさった
このアルバムを
僕はどうしても過小評価されている気がして、残念でならない。
ブライアン・ウィルソンが天才ということでしか
ビーチボーイズの音楽を聴いていない人は是非聴いてほしい。
1.ゲッチャ・バック – Getcha Back
2.イッツ・ゲッティン・レイト – It’s Gettin’ Late
3.クラック・アット・ユア・ラヴ – Crack at Your Love
4.メイビー・アイ・ドント・ノウ – Maybe I Don’t Know
5.シー・ビリーヴス・イン・ラヴ・アゲイン – She Believes in Love Again
6.カリフォルニア・コーリング – California Calling
7.パッシング・フレンド – Passing Friend
8.アイム・ソー・ロンリー – I’m So Lonely
9.ホエア・アイ・ビロング – Where I Belong
10.アイ・ドゥ・ラヴ・ユー – I Do Love You
11.イッツ・ジャスト・ア・マター・オブ・タイム – It’s Just a Matter of Time
12.メイル・エゴ – Male Ego
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