ボブ・ディラン&グレイトフル・デッド 『ディラン&ザ・デッド』


ディラン・アンド・ザ・デッド(紙ジャケット仕様)

1989年1月30日発売。
グレイトフル・デッドといえば、
ジャムセッション的なライブを売りにしているバンドで
しかも指定したスペースでのライブの私的録音を許可している。
開放感が魅力的なバンドである。

ボブ・ディランは1987年6月、グレイトフル・デッドとツアーを行った。
とても短期間の6月に6回のみと開催期間が小規模だったため、
ボブ・ディランとしては
お試しの実験的なイベントだったのだと思う。
ただこの「お試し」がボブ・ディランはとても気に入り、
ボブ・ディランはこのツアー終了後、グレイトフル・デッドに加入することを申し出る。
けれどグレイトフル・デッドのメンバーの一人が
ボブ・ディランの加入に反対をして実現はできなかった。

ボブ・ディランを語るとき1980年代は低迷期として
このグレイトフル・デッドとのコンサートも
低迷した自身の活動に追い込まれカンフル剤的役割を期待したのでは
評する人がいるけれど、
僕はそうではないと思っていて
ボブ・ディランは、もともと無批判ぎみに試行錯誤するタイプのミュージシャンで、
決定的なアルバムが少ないだけでそう見えるだけで
もともとそういったこだわりのなさを見せているものと思う。

このアルバムは6回から4回、抜粋されている。
全曲ボブ・ディランの楽曲。
何故ツアー終了して1年半後に、ライブアルバムとして発売されたのか。
僕にはよく分からない。
もしかしたらレコード会社との契約上、出さざるを得なかったのかもしれない。
(アルバムのノルマとして、
1年おきに何かしらアルバムを出さないといけない状態だったのではないか。その可能性はそれなり高い。
そう考えると、1年ごとに、とにかくアルバムを出しているような状態に腑に落ちる。)

それとグレイトフル・デッドは上記のように、条件付きで私的録音を認めているから
あらかじめ正規に録音した
音質の良い公式版を出して、収益を出そうとしたのかもしれない。

ジョイントコンサートといえばザ・バンドとの1974年のコンサートツアーを思い浮かぶ。
ただザ・バンドとバンドの性格が違い、良くも悪くも間延びした演奏が聴ける。
ただこののびのびと行ったライブは、ボブ・ディランにとっては居心地が良かったのだと思う。

この気負いのないライブのスタイルはアルバムの名前を冠したわけでもない
1988年から現在まで毎年当たり前のように世界中にライブツアー「Never Ending Tour」につながっていると思う。

1.スロー・トレイン – Slow Train –
2.アイ・ウォント・ユー – I Want You –
3.ガッタ・サーヴ・サムバディ – Gotta Serve Somebody –
4.クイーン・ジェーン – Queen Jane Approximately –
5.ジョーイ – Joey –
6.見張塔からずっと – All Along the Watchtower –
7.天国への扉 – Knockin’ on Heaven’s Door –

録音データ
1987年7月4日マサチューセッツ州フォックスボロ、サリヴァン・スタジアム(1、5)
1987年7月19日オレゴン州ユージン、Autzen スタジアム(4)
1987年7月24日カリフォルニア州オークランド、オークランド・コロシアム(2)
1987年7月26日カリフォルニア州アナハイム、アナハイム・スタジアム(3、6、7)

コメント

タイトルとURLをコピーしました