2005年3月30日発売。
セルフリミックスアルバムとして発売されたが、
実際はセルフカバー集。
Me-imiツアーのDVDが発売される際、レーベル側あるいは事務所側が
Me-imiツアーのライブCDもリリースという決定に、
岡村靖幸自身が実質同じ音源を発売することに反対し
その落としどころとしてこのアルバムが制作された。
前述の理由と納期が短かったとテレビ番組のインタビューで愚痴をこぼしていたことが
記憶にある。
このアルバムが発売された3週間後に逮捕され(2回目の逮捕)、2年半弱ブランクを開けてしまう。
このアルバムの聴きどころは
後に登場する『エチケット』の時もそうだけど、
オリジナル版よりもこのセルフカバーの方が
出来がいい曲があり、そうでない曲でもオリジナル版にはない魅力がある。
僕はセルフカバー集というものに、期待をもてない。
オリジナル版と聴き比べてほんのわずか面白さがあればいいという程度で
少しでもそこから超えて期待するとガッカリすることが多いと思っている。
キャリアの長いミュージシャンのリリースを開けないための措置と考えてしまうことが残念ながら多い。
その僕のセルフカバー集に対する考え方とは裏腹に、今作は十分に水準があり、
期待に応えるところが流石。
作品そのものに一切の妥協を感じられないところにミュージシャンシップの高さを伺える。
ミックスは『Me-imi』に引き続き岡村靖幸と深澤秀行共同。
5曲のみ深澤秀行の実質アレンジに参加しているのではと個人的には考えている。
ここに収録された曲はすでにセルフカバーし終わったということだろうか、
「adventure」除いて『エチケット』に収録されていない。
全作詞・作曲・編曲:岡村靖幸
1. Intro ★★
Me-imiツアー最終日のMCからの抜粋。
岡村靖幸はライブでMCをやらず、ツアーのミュージシャンが変わりに担当している。
ここでのMCの声は深澤秀行による。
「みんなに会えないのはすごくさみしい、
その少しの間、約9年ぶりのニューアルバム『Me-imi』を聴いて待ってていてくれ。必ず戻ってくる」
という言葉は
この後起きる岡村靖幸の出来事を考えると少し皮肉に聞こえてしまう。
このIntro があるからこそ、次の曲「ア・チ・チ・チ」出だしのインパクトがある。
この選択がプロデューサー岡村靖幸としての実力が発揮している。
2. ア・チ・チ・チ★★★★★
躍動感が凄い。
オリジナル版を凌駕している。
時期が『Me-imi』に近いだけあって、
こちらをオリジナル版にすればよかったのではと思わせる出来。
しかもこの時期の目に余る歌唱の音程が外れるということが
この曲に関してはない。
それどころかこの時期の特徴である、
メロディーの高い箇所を歌うときに出るがなり声が効果的である。
3. 聖書 (バイブル) ★★★★
メドレーとして登場。
この時期に出演したテレビ番組「筑紫哲也のNEWS23」に出演した際と同じ流れになる。
この時期の音源はボーカルのピッチが乱れたままリリースするという欠点が挙げられるが
ライブ感あふれるこのアルバムでは『Me-imi』程には気にならない。
とはいえアルバムの中ではこの曲が一番気になり、
繰り返し聴くことを前提した音楽アルバムではピッチ修正してほしかった。
4. come baby★★★
この曲と次の曲の「adventure」は
もともとは『岡村と卓球』としてリリースされた曲。
岡村靖幸と石野卓球、どちらが主導で作ったのか分からないが、
このアルバムのクレジットだとどちらも作詞・作曲は岡村靖幸が書いたことになっている。
このアルバムに収録し、
この2曲のこのアルバムバージョンを聴いていると
岡村靖幸が主導で作ったといわれると説得力を持ってしまう。
5. adventure ★★★
軽快なダンスナンバーと展開する。
「adventure」は後のセルフカバーアルバム『エチケット(ピンクジャケット)』にも収録されていて、
何を基準にして「エチケット」は選曲されているのか分からないところが多いが、
確かに「エチケット」と大きくアレンジが異なる。
アルバムクレジットの中に
Played some insts and M5(4:25~end)remixed by 深澤秀行(Office Without)とクレジットされていて、
この曲に関して深澤秀行はアレンジとして貢献しているのではと僕は考えている。
6. Check out love ★★★★☆
オリジナル版より躍動感があり、
がなり声がこの曲に緊張感を与えれ、いい意味で狂気を感じられる
このバージョンが気に入ってオリジナル版の「Check out love」を好きになった記憶がある。
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