ゆず 『ユズモア』


ユズモア

2002年3月6日発売。
歌詞は前作『トビラ』の自作自演のメッセージは減らし、物語性を持たす内容にしている。
アルバムのレコーディング&ミックスエンジニアは12を除いて吉野金次が担当。
プロデューサー寺岡呼人が細野晴臣『HOSONO HOUSE』の音を気に入っていて
起用につながった。
2002年の時点では、
もう既になかなか手にいれることが難しいビンテージのレコーディング機材や
アナログMTRを取り入れた。

「このときはSTUDERのアナログ・テレコや、たくさんある呼人さんのビンテージ・マイクなどを
使って、ちょっと古い感じを狙いました。ボーカルとギターがきれいに分離しているというより、
くっつき合ったり離れたりしている、そういう感じですね。」
『エンジニア直伝!レコーディングテクニック大全』
(リットーミュージック・ムック―サウンド&レコーディング・マガジン)
p35

今から見るとここからそれまでのモノトーン気味だったゆずが
カラフルなイメージを取り入れはじめたアルバムだと見ることが出来る。
そのことをエンターテイナーとしての懐の広さと捉え割り切れるかどうかで
ゆずとしての評価が分かれると思う。

作詞・作曲: 北川悠仁(1、2、5、6、8、11、13、14)、岩沢厚治(3、4、7、9、10、12)
編曲:寺岡呼人、ゆず

1.ぼくの漫画の主人公★★★☆
主人公が中学生だった頃、漫画の主人公に憧れていたことを歌っている。
描写にリアリティーがある。

2.みぞれ雪★★☆
「みぞれ雪に迎えにいくよ」というメッセージ曲。
よく出来ているポップス、多彩さをアピールするアルバムとして置かれている。

3.ダスキング★★★☆
ロックナンバー。

4.カナブン★★★
バラード曲。
メロディが美しいのが特徴的なのだが、
歌詞やその他何かひとひねり欲しい。

5.アゲイン2★★★☆
2002年2月13日にシングルとして発売された。
「アゲイン2」の2という意味は
もともと「アゲイン」という曲が出来、
さらに制作し直したからである。
「アゲイン」はベストアルバム『ゆずのね 1997-2007』に収録されている。

疾走感あふれる王道のJpopナンバー、
加えてゆずのフォークとしての魅力がある。
ただピアノのイントロは蛇足だと思う。

6.ぼやき電車★★
社会に何かもの申している風の歌。
ただもうゆずとしてはキャリアを重ねたため、
かつてのようなリアリティーは良くも悪くもなくなっている。

7.直径5mm★★

8.ほんの一時間前★★★☆
人の抱えている自己矛盾、気分を
「ほんの一時間前」の差異を例にシニカルに並べている。
バックの演奏が心地よい。

9.始めの一歩★★

10.季節はずれ★★

11.Go★Go!!サウナ★★☆
サウナへいこうということを題材にして
ロックンロールナンバーとして
エンターテインメント全開のライブ映えする曲を作ろとしたかもしれない。

12.3カウント★★★★
『ユズモア』発売の
約1年前の2001年5月23日にシングルとして発売されている。
この勢い、ポップスさは抗いにくさがある。

2番目のメロでグロッケンが登場し盛り上げるのは
効果的だと思う。

13.無力★★
ゆずが「無力」をテーマにしたらこうなりますという曲ではある。

14.ユーモラス★★☆
「無力」の後に、流れはまったく関係ないように「ユーモラス」が登場。
僕にはばらつきを感じた。

ただこれはあえてそうしているかもしれない
もともとジャケットのイメージのままに
多彩さを表しているのか、
それとも多忙のゆずのレコーディングスケジュール的に
コンセプトを統一させるだけ曲のストックや
バラバラにし多彩な曲を並べるという戦略をとったのか。

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