ユタ・ヒップ 『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ』


ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ+2

ユタ・ヒップのこのアルバムは聴いていて心地よい。
心地よいという言葉が大事で
どこか気疲れしたときにすっと入っていける。

あっさりして美味しい、
いや美味しいと感じないさりげなく頂ける
食べ物みたいだ。

僕は今少し気疲れしている。
ここ最近の猛暑続きの寝不足、
こなさなければいけないタスク、
それでもどこか音楽を聴こうと思ったら、
このアルバムが頭に入ってきた。

ズート・スミスと共演したものである。
ユタ・ヒップのピアノの音色は
柔らかく既に本人の情報を調べているからか
白さを感じる音色である。

このアルバムを最後にユタ・ヒップはプロとしての音楽活動をやめたらしい。
多数の競争相手がいるなかで
目立たないピアノの音色だったのかもしれない。
そういう意味で多くの巨匠になれなかった一人かもしれないが、
音楽の素晴らしさはそれでは決まらない。

ジャズのアルバムというと僕は
マイルス・デイヴィスをよく聴くのだが、
今日みたいな状態であると
音楽は聴くのにも体力がいるんだなと
痛感する。

「たられば」というのは実際にないのだが、
もしユタ・ヒップがニューヨークに留まり、音楽を精力的に続けていたら
もっとすっとそばにいるようなアルバムがたくさんあったのだろうかと思う。

僕は嫌いなことを述べるときにはできる限り具体的に理由を述べなくてはいけなく、
好きなものには理由がなくていいと思っているのですが、
そんなことを思わせる一枚です。

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