大滝詠一 『A LONG VACATION』


A LONG VACATION 30th Edition

1981年3月21日発売。
大滝詠一の代表作で、
音楽評論家の中では最高峰の評価をもらっているアルバムで
日本の音楽(特に評論)に功罪大きく影響を与えた作品。

功については、他の人があまりに多く語っているので、
このアルバムについてあまり語られていないことを中心にあえて書こうと思う。

次回作『EACH TIME』(1984年3月21日)が感傷的な別れの歌が多く、
それと対比するように今作の歌詞を明るいとされているらしいけれど、
僕はそう思わない。むしろこの明るさは諦観から来ていると思われ、
アルバム全体のテーマであるリゾートと相まって歌詞カードで歌詞を読む時、
体温の低さ、ある種の絶望感を味わって、少し不安を感じることがある。
大滝本人作詞の「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」でほっとするときがあるくらいだ。

このアルバムは音楽評論家の中では最高峰の評価をもらっているアルバムで、
このアルバムそのものが頂きにあるのだが、
大滝自身と日本の音楽評論に功罪大きく影響を与えた作品。
功については、他の人があまりに多く語っているので、あまり語らなくていいのだろう。
罪について、
まずこのアルバムはロングヒットした、
その印税は大滝詠一自身が音楽活動しなくていいくらい大きなものらしく
このアルバムのロングヒットが結果的に
約3年後のミュージシャンとして半分引退する遠因となっている僕は考えている。
また音楽評論面でいうと、
このアルバムを根拠(マイルストーン)にして、
はっぴいえんどを神棚にし
はっぴいえんどをニューミュージックの開祖とする考えを大きく固めてしまった。

このアルバムに関しては語られることが多い作品だけれども、
聴く際には、何度聴いても聴き飽きない大変完成度の高い作品であるという
結論でいい気さえする。
聴く前の注釈があまりにも多すぎるし、
このアルバムはもう忘れ去られない作品であるから、
ただ目の前にただ気軽に聴いて楽しむ、何気にそばに置くぐらいが丁度いいと思う。

ただそれまでの、このアルバムが出るまでの大滝の実績と
制作費からしても採算度外視でアルバムを制作できたというのは、
奇跡のようなものだと思う。

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